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日本統治下の朝鮮語映画「家なき天使」~おさるさんのブログより~
http://blog.goo.ne.jp/sarudayo/e/744a79021a16ff4fad0ae91c49dcd60f
14日鑑賞の2本目は「家なき天使」。 「軍用列車」と並んで最近、中国に残っているのが発見された4本のうちの1本。 撮影監督金 学成(金井 成一)の足跡を追った田中 文人監督のが「2つの名前を持つ男」を製作中、ちょうど韓国映像資料院の院長が中国に残された朝鮮映画のフィルムを韓国に譲り渡してもらうことに成功。 その中に「家なき天使」があったのですが、この作品、撮影は金 学成によるものでした。 その話が「2つの~」の院長インタビューで紹介されているのですが、おそらくそうした縁からでしょう、「2つの~」では「家なき天使」に出演した子役の一人(今は老人ですが)のインタビューが収録されています。金 学成のいた現場の想い出を語ってましたね。 そうした田中監督と院長との信頼関係からでしょう、「2つの名前を持つ男」が上映された昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭では、映像資料院の特別協力という形で(たぶん)「家なき天使」が日本で初めて(そして最後?)上映されています。 けどそのときには、私は日程がバッティングしていたプサンに来ていて見ることができませんでした。なので、今回、プサンでリベンジというか・・・。(わらい) 「家なき天使」、1941年の作品で監督はチェ・インギュ。後に解放後初の劇映画と言われる「自由万歳」を監督した人ですが、「自由万歳」は日本の圧政に苦しむ朝鮮の人々の抵抗運動を描き、光復の日の人々の喜びのシーンで(本来は)終わっていたという映画。 チェ・インギュは光復前後の、思想・内容的に180度異なる映画づくりをする運命となった韓国・朝鮮映画人の代表的な一人といえるのでしょう。 「家なき天使」は、内鮮一体が叫ばれる時期の朝鮮、ソウルを舞台に、キリスト者が孤児達を救うために孤児院を建てて共に暮らし、彼らの教育に尽くすという事実に基づいた作品のようで、子供たちが活躍する、ほのぼのとした作品となっています。 この映画は文部省推薦で、日本全国で上映される朝鮮映画となるはずが、内務省の検閲には通らずに日本での上映は断念することとなったらしい。理由は今もって不明ですが、浮浪児がたくさん出てくる貧しい朝鮮が映画に描き出されることを好まなかったのではないか、という話もあるようです。 革命後のイラン映画ではないけれど、子供達が主役ということで政治的なものからはおおむね逃れているのですが、しかし、映画の中に2箇所、日の丸が出てくるところがあります。日の丸の旗の下で軍隊ラッパを吹く子供というシーンと、もうひとつ、日の丸の下でキリスト者たる先生の前に子供たちが整列し、皇国臣民の誓いを声を合わせて唱えるシーン。こうしたところがなくては、おそらく文部省の検閲にも通らないという、時代的なものがあったのでしょうが。 映画でも、日本語が随所に出てきて時代を感じさせますね。 映画祭での上映では、若い観客が多かったのですが、その日の丸のシーン二箇所では、静かなざわめきが広がっていましたね。 司会の方、たぶん映画研究者と思われる女性は、今回の発見された映画についてのセミナーが後日あると案内していましたが、ティーチイン終了後、欧米系の観客(たぶん映画人)に英語で話しかけているのを聞いていたら、今回、若い人がざわめいていた日の丸のシーンに絡む話もあるようなことを仰っていましたね。 レトロパースペクティブ上映作品の大部分が内鮮一体に関わった話ですので、セミナーは自ずと植民地下の朝鮮映画についてのものとなるでしょう。 私も行きたいけど、日がね・・・。 韓国映画の歴史の中では、日本に留学等して映画作りを学んだ人がいるわけですが、どうも解放前に日本で学んだ人についての評価が定まらない面があるようですね。 しかし、セミナーが開かれるところをみると、中国で植民地下朝鮮の映画4本が発見されたことがひとつのきっかけとなって、そうした時代のややもすると矛盾を抱えざるを得なかった映画人や作品について研究が進んでいくのかもしれませんね。 日本側でも、昨年、「2つの名前を持つ男」が製作、公開されたのは意義深いことだったのではないでしょうか。 日本と韓国の映画におけるつながりにおいて、触れにくいが触れないでいられない時期のことですから。 私が見た回はゲストがいらしてました。チェ・インギュ監督の娘さんで、映画の中でも物売りの親方に飲み屋に売られそうになり、やがて先生の兄に助けられて看護婦見習いになって離ればなれになっていた弟とも再会する あき子として出演していらしたようですね。 観客からは終映後にたくさんの拍手がわき起こり、今はおばあさんとなっている監督の娘さんが目に涙を浮かべているのが印象的でした。 ではでは。
by 699yabuhebi
| 2006-12-24 01:52
| 近現代史
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